ほんの少し前まで、町内に一軒は必ずあったお米屋さん。

大量販売の波に押されて昔ながらの小売店が姿を消しつつあるなか「味」と「鮮度」を第一に、少量から量り売りしてくれるお店としてつきたて精米の「こめ屋こめ吉」が菱屋町商店街にオープンしました。

経営母体は近江八幡を本拠地とする「株式会社ナカエ」。

各種農業機械の小売・卸販売・修理を手掛ける企業が立ちあげたというお米屋さんとしてはちょっと変わり種のお店です。

右から中江冨治雄社長と、店舗スタッフの松田さん。

店内には作り手である農家さんの思いが伝わる厳選米がずらり。

郊外の直売所や道の駅などでは近年、少量計り売りも見られるようになりましたが「産地の思いや新たな取り組み、苦労を、新鮮な味わいとともに直接、消費地へ届けたい」という中江社長の情熱と、市街地活性化を目指す百町物語の目的が見事にマッチング。

わずか数坪の店舗ながら、新しいビジネスモデルを大津百町から提案していこう!と、昨年末に事業がスタートしました。

店頭では1合から、その場で好みにあわせて「分つき精米」をしてもらえるので「週替わりで違う産地を試してみたい」「玄米は苦手だけど7分づきぐらいにしてほしい」といった細かな要望に応えてくれるほか、「10キロ、5キロの米は重くて…という方がその週食べる分だけを買いに来られます。
これもお年を召した方が多い百町エリアならではでしょうか」と松田さん。

取材中も少量を精米し、自転車や手押し車に笑顔で積み込んでくれる姿が印象的でした。
産地や味についても気軽に相談できる雰囲気なのがうれしいですね。

さて、毎日食べるお米を選ぶ基準は人によってさまざまなもの。
あなたは味ですか? それとも産地? 品種? 値段ということもありますよね。

そのなかで最近、米選びのポイントの一つとして注目を集めているのが「食味値」。

◇アミロース(米の粘りに影響する)
◇タンパク質(窒素肥料の多寡にも影響される)
◇水分(食味を左右する主要素)
◇脂肪酸化度(古い米ほど酸化が進む)

これらを100点満点で数値化して評価するもので、標準で60~65点、新潟魚沼など特A地といわれる産地のコシヒカリだと90点以上のもあるとか。

食味値は、精米した時点で急速に低下するため、いくら農家が土壌改良や肥料の工夫をしても、精米後の保管期間が長ければそれらが消費者に上手く伝わりません。
長年、全国の生産地をまわり、熱意ある生産者とも交流してきた中江社長にとって現在の流通のスタイルはもどかしさを感じずにはいられなかったといいます。
こめ屋こめ吉が「つきたて」と「対面販売」にこだわるのはまさにそこが原点。

「正直、利益度外視なんですよ(笑)。この店の使命は米を売ることではなく、生産者の思いを暮らしのなかに生かしてもらうことでこの国の農業をほんの少しでも変えていくことなんです」と中江社長。

ここは作り手と買い手が本当の意味で出会う場なんですね。

 

商品ラインナップを一部ご紹介しましょう。
いずれも、「安心」「安全」「おいしく」「新鮮」という4つのプロミスに基づき中江社長曰く「全国の信頼できる仲間たち」から届けられたお米です。

まずは左から、特Aの新潟魚沼産コシヒカリ。厳選地域米で2kg1,500円。
玄米は1分づきにすれば、普通の炊飯器でおいしく炊くことができるそうです。
右はオープン記念に配布され、早くもリピーターがあるという長野産・特Aコシヒカリ。オープン特価で2合250円。

左はカルシウムを豊富に与えた「カルテック農法」の特別栽培米コシヒカリ。2kg1,200円。
右は、その名もユニークな「ほこらへんにないお米」。5kg 2,300円。
混植米と呼ばれるもので、田んぼに植えるときからブレンドされたお米です。悪天候や病気に強くなるため、減農薬で育てることができます。

右は、滋賀県産の「龍の目」。琵琶湖大橋米プラザとこの店だけで販売されている地元米。大粒で甘く、粘りがあるのが特徴です。2kg 1,980円。
ほかにも滋賀でおなじみの「日本晴」や「ミルキークイーン」などもあり、1kg 500円~。特A米は1kg 600円~。
いろんなお米を詰め合わせたギフト商品も全国配送してくれます。

また、各地のネットワークを生かして黒豆などの特産品も並びます。
米ぬかは「ご自由にどうぞ!」というサービス。さすが自家精米のお店です。

 

玄米の販売など、健康志向の方にも注目を集めはじめていて、お客さんからは「おにぎりにして売って!」「おもちも欲しい」といった要望も寄せられているとか。米粉を使ったパウンドケーキなども商品開発中とのこと。

いずれは生産者を招いて交流会をするなど、大津百町でのイベントもやってみたいと語ってくれた中江社長。

大型店やネット販売にはない、昔ながらでいて新しい「フェイス・トゥ・フェイス」があるお店です。

◇ こめ屋こめ吉 ◇
営業時間:10時30分~17時
定休日:水曜・日曜定休 ※第3日曜営業
住所:大津市長等2丁目10-8
電話:077-511-9933
(株式会社ナカエ 近江八幡市馬淵町633-1 0748-37-0373)

※記事は2016年2月の取材を元に作成しています。
消費税込(8%)の表記です。商品内容は時期によって変わる場合があります。

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